翻訳コストを左右する要素を見てみよう

外国語に関する幅広い業務を担う翻訳会社やランゲージサービスプロバイダー(LSP)の選択において、コストは大きな検討項目です。ところが、翻訳のみを行う会社から、ローカライズまでを一括で請け負う会社まで会社の規模もさまざまなら、コストにもかなりの差があり、一概に比較することが難しいものです。ここでは、翻訳プロジェクトに影響を与えるコストを左右する要素について見てみます。

翻訳言語の組み合わせ:

翻訳コストに影響する重要な要素のひとつは言語の組み合わせ、つまりどの言語からどの言語に翻訳するかです。特に話者数の少ない希少言語の場合は、その言語と別の言語間の翻訳する技能および知識を持つ翻訳者の数が少ないため、彼らの経験に応じて翻訳価格は高くなります。その結果、希少言語の翻訳作業は、話者数の多い言語の翻訳よりも高額となります。さらに、翻訳対象言語の翻訳者の居住地の経済状況によって翻訳相場が異なり、それがコストに影響することもあります。

機械翻訳と翻訳者による翻訳:

依頼したい翻訳の内容によりますが、機械翻訳を利用するか翻訳者による翻訳とするかで翻訳コストは異なります。機械翻訳には、無料のオンライン翻訳ツールからLSPの提供するCAT(Computer AssistedTranslation)ツール (コンピュータ翻訳支援ツール)の利用まで多種多様な選択肢があります。一般的には、機械翻訳は翻訳者による翻訳よりも低コストですが、翻訳する対象や内容によって、その作業に適した翻訳手段を選択することが必要です。正確性と経済性の両面から考慮するのであれば、機械翻訳を行った後さらに、人(翻訳者)によるポストエディットを行うという選択もあります。

内容の特殊性(一般的な内容か特殊な内容か):

翻訳対象が、一般的な内容か特殊な内容かも翻訳コストに影響を与えます。翻訳会社やLSPは、依頼の内容に応じた技能や専門知識を有する翻訳者を作業に割り当てるので、特殊な知識が要求される内容になればなるほど翻訳コストも高くなります。例えば、医療機器に関連する文書の翻訳や金融関連の文書を翻訳する場合、一般的なメール文書の翻訳よりも高度な知識が必要とされることは明らかです。

追加サービスの要望:

どのような翻訳を依頼するか決めた後に付随するサービスを追加する場合には、別途費用がかかるものもあります。例えば、基本レベルでのプルーフリーディングが当初の作業内容に含まれていたとしても、高度なレベルのプルーフリーディングを希望した場合には、費用追加となることもあります。さらに、依頼文書を何度も書き換えた場合には、翻訳費用が加算されることもあると覚えておきましょう。

双方向カスタマーサポートの有無:

翻訳作業の目的によっては、より綿密なカスタマーサポートを希望されるかもしれません。翻訳会社やLSPによっては、双方向カスタマーサポート[を提供しており、面談や電話といった手間暇をかけることなく相談することができるようになっています。このようなサポートサービスは、作業依頼者と翻訳会社/LSPとのコミュニケーションの効率化を図るには有効な手段です。

作業スピード/納品までの時間:

急ぎの作業依頼の場合、翻訳会社やLSPは納期に間に合わせつつ、翻訳の品質をできる限り確保しようと通常より多くの翻訳者を投入したり、長時間作業をしたりすることになります。そのため、納品までの行程にかけられる時間は作業コストも影響し、急ぎまたは緊急対応が求められた場合にはコストが高くなります。

原稿の長さ:

ほとんどの翻訳会社やLSPは価格を単語ごとに設定しているため、翻訳コストは原稿の長さ(ページ数、文字数)によって変わってきます。とはいえ、多くの翻訳会社/LSPはすべての翻訳テキストを翻訳メモリーに保存しているので、過去に依頼された文章に出てきた単語や文章などであれば翻訳メモリーから拾い出すことによって新たに翻訳する字数を減らし、コストを下げることができます。プロジェクトが継続し、引き続き翻訳作業を依頼する可能性があれば、事前に依頼先の翻訳会社/LSPにその旨を伝えておくとよいでしょう。

ファイル形式:

翻訳対象文書のファイル形式が価格に影響することもあります。例えば、PHPや事前処理が必要なファイル形式の場合、マイクロソフトのWordのように一般的なファイル形式よりもコストがかかることがあります。特殊なファイル形式の場合や指定のプラットフォーム上で作業する場合、その形式や作業環境に対応できる技能を持った翻訳者を探さなければならないからです。通常の翻訳作業以上のスキルを求めることによってコストが高くなることになります。

プロジェクトマネージメント(工程管理):

プロジェクトの内容によっては、翻訳会社/LSP側でプロジェクトマネージメント(工程管理)が必要になることがあります。プロジェクトマネージャーは、契約作成から納品が完了するまでプロジェクト全体を把握する役割を担います。当然全体的なコストは高くなりますが、内容や規模によってはプロジェクトマネージメントチームに工程管理を任せることは大いに意義のあることです。プロジェクトマネージメントチームは、翻訳者と連携し、適切な品質管理を行い、納期遵守に努めつつ、費用管理も行ってくれます。

作業自体のコストを懸念しているときに翻訳の依頼目的をはっきりさせることは難しいかもしれません。しかし、適切な翻訳会社/LSPを選んで作業を依頼することによって、依頼内容や予算に応じた解決策が得られるでしょう。

まとめ:

翻訳サービスの価格は、関連するさまざまな要素によって変わってくるので、それらの要素を把握しておくことが大切です。依頼したい翻訳プロジェクトにおいて価格に影響を与えそうな要素、カギとなる要素を理解しておきましょう。


 

 

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