DAO(分散型自律組織)はリモートワークの未来なのか?

古代の車輪の発明からAIなどの最新技術の登場まで、技術の進歩により人間の仕事のあり方には変革が起き続けてきました。効率的で合理的な日常を目指した変革が常に行われてきたのです。

近年における仕事環境の大きな変化のひとつは、リモートワークが新たなスタンダードとなって世界的に受けいれられたことです。この「リモートワーク革命」ともいうべき変化をさらに推し進めるのが、DAO(分散型自律組織)の急速な台頭です。

この革新的な組織は、分散化と自動化によって、リモートでのコラボレーションのあり方をこれまでにない形へと刷新しています。

DAO(分散型自律組織)とは

DAO(Decentralized Autonomous Organization=分散型自律組織)とは、ブロックチェーン上のスマートコントラクトを活用した、企業のさまざまな部分を管理・組織化する技術です。これらスマートコントラクトは、人間の介入なしにDAOを機能させます。例えば、Utopiaは企業の安全な給与計算システムの作成を支援します。

DAOの仕組み

DAOは、ブロックチェーンの技術に基づいたスマートコントラクトに依拠します。スマートコントラクトは、あらかじめプログラムされた一連のアクションで、ブロックチェーン技術と相互作用して特定のタスクを実行します。

例えばDXdaoは、デジタル資産のポートフォリオ・マネージャー、予測市場、分散型取引所、スワップ・プロトコルなど、数多くのオープンソース・イニシアチブに支援を提供するコミュニティ主導の事業体です。

リモートワークが増え続ける中、DAOはグローバルな仕事環境の未来にとってのひとつの鍵となり、Web3.0における働き方を示してくれるでしょう。リモートワーカーは、1人の雇用主のために40時間近く働く代わりに、異なるDAOに数時間ずつ労働力を提供する、などということが可能になります。 DAOは分散型で運営され、従来の組織とは一線を画しています。従来の組織とは異なり、DAOは階層的な構造にとらわれることなく、主に経済的なメカニズムによって機能するのです。

DAO(分散型自律組織構造)は、分散、協調、非占有という特徴を持ち、つながりのある個人間の広く分散したネットワークの中で、リソースとアウトプットを共有するという原則で構築されています。また、市場シグナルや経営者の命令に依存することなく、参加者どうしが協力して組織運営を行います。DAOが市場に浸透していく中、人々はこの新しい技術に傾倒し、さまざまな業界で新たな機会が模索されています。DeepDAOによると、現在トップクラスのDAOには、227億ドルもの資金が保有されています。このうち、196億ドルは流動的で、31億ドルは2023年5月9日時点で権利が確定されています。そして、この数字は日ごとに増え続けています。

DAOとそのメリットを理解する

自律性の向上

リモートワーカーの時間を奪う初歩的なタスクを、DAOが自動化させるのは間違いありません。それにより、働き手はクリエイティブな作業に集中することができます。単調なタスクではなく、高い価値を生み出すタスクに多くの時間を費やすことになるのです。 DAOでは働き手に、自分の心に響くプロジェクトや、自分の強みを活かせる仕事を選ぶ自由が与えられます。これにより、職場のストレスやワークライフコンフリクトなどの課題の軽減にもつながるでしょう。

透明性と意思決定力の向上

DAOは、分散型ブロックチェーンネットワークに基づくものです。参加者は、トークンを使い、ネットワーク全体に影響を与える重要な意思決定に投票することができます。この種の意思決定の優れた例は、分散型投票システム「Snapshot」です。このシステムの特筆すべき点は、その透明性です。

分散化

リモートワーカーにとってのDAOの魅力のひとつは、ブロックチェーンの分散化という性質です。世界中のどこからでも、いつでも効果的に仕事を行えるのです。さらに、DAOでの仕事は対価が高く、リモートでの業務や組織への参加が高く評価されます。

DAOの恩恵を受けられる業種

ほとんどの企業はDAOの恩恵を受けられるでしょう。DAOは、これまでに考え出された中で最も費用対効果が高く、公平なビジネスモデルだからです。ブロックチェーンの力を活用しながら、従来の中央集権型企業の弱点を解消できるのです。

DAOは、暗号化を推し進め、ストレージ分配を拡張しなければならない分野で特に実力を発揮します。また、この技術では、第三者が適切な権限なしに他の人の決定を覆すことができないといった安全性も担保されています。こうした特性から、以下のような領域にとって、DAOは最適のソリューションといえるでしょう。

  • ブロックチェーン
  • フィンテック
  • IoT
  • ソーシャルインパクト、NPO

ローカライズ業界におけるDAO

DAOを活用してビジネスの一部を自動化および区分けすることで、企業は仕事の質を犠牲にすることなく、迅速な拡張への対応能力を高められます。 ここでは、ローカライズという分野を例に、コラボレーション、包括性、分散型意思決定を促進させる上で、DAOがどのような役割を果たすかを説明します。

  1. クラウドソーシング: DAOを設立し、翻訳者や言語学者のグローバルなコミュニティに参加してもらえば、彼らの言語に関する専門知識やスキルをローカライズのプロセスに活かせます。この分散型アプローチは、作業負荷を分散し、品質を確保し、多様な言語の専門家の能力を利用するのに役立ちます。
  2. スマートコントラクトと決済システム :DAOでは、ブロックチェーン技術とスマートコントラクトの活用により支払いプロセスの自動化が可能になります。これにより、企業、翻訳者、クライアント間で、シームレスで透明性が高く公正な取引ができるようになり、支払いに関わる諸経費も削減できます
  3. 分散型の意思決定 :DAOは、参加者が集団で意思決定を行う分散型ガバナンスモデルで運営されます。このアプローチでは、単一の団体や地域が意思決定を支配するのではなく、多様な視点が考慮される公正で包括的な環境が醸成されます。
  4. グローバルなネットワーキングとパートナーシップ :DAOでは、個人と組織がグローバルにつながる機会が生まれます。プロフェッショナルなネットワークが広がり、国境を越えたパートナーシップも育まれるのです。

終わりに

DAOは、人々が働く環境を改善し続けています。世界のDAOの数は約10,992以上に達しており、この流れは今後も続くでしょう。このテクノロジーは、グローバル企業の世界を変革し、組織内の力を再分配し、階層的な組織構造についての見方を変えています。そして企業が世界中の才能を活用して効率的にビジネスを行うための機会を提供します。DAOには、既存の仕事の構造を変える可能性があるのです。しかし、この技術がより広く普及するかは、私たちの新技術への対応力や、IoTへのアクセシビリティによるところが大きいでしょう。DAOは将来、組織のスタンダードとなる可能性があるのでしょうか?今後も動向に注目していきたいと思います。

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