
契約書の英語翻訳で避けるべき10の落とし穴
国境を越えた契約や訴訟案件では、わずか1つの誤訳条項が結果を左右することがあります。急ぎの翻訳作業はコスト15〜25%増につながることもあり、法的用語は国や管轄によって直接翻訳できません。
つまり、法務翻訳は単なる言葉の置き換えではなく、正確な法的効果を保持することが成功の鍵です。
本記事では、品質・コンプライアンス・コスト管理の観点から、10の落とし穴を避ける方法と、参考スケジュールをご紹介します。
法務翻訳で価値を出すポイント
法務翻訳は契約書、裁判書類、知的財産登録、規制申請など幅広く活用されます。一般的な翻訳と専門の法務翻訳サービスの違いは、言語を超えて法的意味を正確に保持できるかどうかです。
法務翻訳に必要な要素
- 法務+言語の専門知識:原文・英語双方の法制度に精通し、概念の対応関係を理解できる翻訳者
- 体系的な品質管理:翻訳者、校正者、法務レビュアーによる二重・三重チェック(理想は英語ネイティブかつ法務教育を受けた人材)
- ISOなどの認定基準:ISO 9001など品質管理基準に準拠した翻訳プロセスを持つことを確認
- 曖昧さゼロ:法務では前置詞1つの誤訳もリスクになり得ます
法務翻訳会社選びのポイント
- 資格と経験の確認:ISO準拠、翻訳者資格、管轄経験
- 費用透明性:単価・時間・ページ別見積もり、隠れコスト確認
- コストパフォーマンス:資格・プロセスとのバランスを重視
- コミュニケーション&サポート:専任PM、明確な納期、定義されたエスカレーション体制
避けるべき10の落とし穴と回避方法
- 最安値だけを追う
リスク:誤訳による紛争・追加費用
対策:業界標準を満たし、プロセスが文書化されたサービスを選ぶ - 管轄差を無視する
リスク:表面上は同じでも法的意味が異なる場合
対策:原文・英語双方の法制度に精通した翻訳会社と協働 - 最終校正を省略する
リスク:小さなミスが大きな問題に
対策:ネイティブレベルの法務エディターによるブラインドレビュー - ワークフローを複雑化する
リスク:余計なステップで納期・料金増
対策:意思決定ポイントを明確にした最小限ワークフローを設定 - 機密保持を軽視する
リスク:情報漏洩・制裁・信頼失墜
対策:NDA、アクセス制御、セキュリティ認証を確認 - 原文仕様の不足
リスク:曖昧さによる誤解
対策:用語集・文脈情報・対象管轄の指示を提供 - バージョン管理を怠る
リスク:ドラフト混同による抜け穴や監査問題
対策:クラウドフォルダ、命名規則、バージョン管理を徹底 - パイロット翻訳を省略
リスク:後で品質問題が発覚
対策:重要部分を試験翻訳、ネイティブ法務専門家に評価 - 納品後サポートを確認しない
リスク:修正が必要でも対応なし
対策:サポート期間とエスカレーション体制を明確化 - 予算不足
リスク:スコープ膨張や追加料金
対策:単価に応じた予算+5〜10%バッファを設定
契約書の予算例
10,000ワード × $0.10/ワード + 10%バッファ = $1,100
急ぎ作業はさらに15〜25%増。早期計画でコストを予測可能に。
参考スケジュール
ステップ1:プロジェクトキックオフ
文書収集、対象管轄、成功基準、納期、機密保持ルールを定義
ステップ2:ブリーフ作成
用語集・スタイルガイド作成、適用法・管轄・使用目的の明示
ステップ3:プロバイダー選定
ISO準拠、法務専門知識、文書タイプ別経験で評価
ステップ4:翻訳+品質管理
三層チェック:翻訳者 → エディター → 法務レビュアー
ステップ5:クライアントレビュー&修正
2〜3回以内に制限、変更を統合・追跡
ステップ6:最終QA&承認
法的確認、用語チェック、フォーマット検証、機密確認
ステップ7:納品&アーカイブ
指定形式・メタデータで納品、必要に応じて安全にアーカイブ
まとめ
いかがでしたでしょうか。
特に予算や費用に関する落とし穴が多いように見受けられます。
今回の記事が何かの参考になれば幸いです。