アプリをローカライズして幅広いユーザーを獲得する

ある統計によると、2019年の全世界でのモバイル端末のアプリケーション(アプリ)のダウンロード総数は2040億になったといいます。多くの企業にとって、顧客獲得やビジネス拡大のために自社アプリをローカライズすることがこれまでになく重要になってきているのです。

アプリのローカリゼーションとは何か

アプリのローカライズとは、ターゲット市場に合わせてアプリをカスタマイズすることです。オリジナル版がもともとの市場で受け入れられているのと同様に現地の市場でも受け入れられるようにするのが最終的な目的です。ローカリゼーションの基本的な戦略を立て、同じ言語でも地域ごとの文化にあわせて細かい調整を行います。

ローカリゼーションには翻訳が欠かせませんが、翻訳だけではローカライズしたことにはなりません。文化的な規範や細かいニュアンスなどをしっかりと踏まえて、現在の生きた言葉にしなければならないのです。また、ある文化で普通に使われている記号や画像が他の文化では受け入れられないことも少なくありません。ですから、単に意味的に正しい翻訳をするのではなく、ターゲット市場の文化をしっかりと把握してローカライズする必要があります。

アプリのローカリゼーションが重要な理由

ローカライズすることで、アプリの可能性は大幅に高まります。反対にローカライズしなければ、もともとの言語の製品やサービスを必要とするユーザーしか取り込むことができず、アプリから得られるのはごく限定的なビジネスチャンスにとどまります。その土地の通貨や単位などから、人々が共有してする知識や語感にいたるまで地域ごとに調整すべき要素は無数にあります。そうした調整を丁寧に行うことでユーザーは着実に増加するでしょう。

実際、アプリに関して以下のような統計データがあります

  • 世界のモバイル機器のユーザーがSNSや通信アプリに費やす時間は、使用時間全体のおよそ50%
  • 世界中のアプリストア市場規模は1200億ドル
  • 2019年にモバイルゲームに支払われた総額は86億ドルで、他のすべてのゲームを合わせた市場規模より25%多い
  • ユーザーがそれぞれのアプリを開く回数は1日あたり1回から10回

世界中でアプリがこれだけ使われているわけですから、多くの業態において、新たな市場に向けたアプリのローカライズをしない理由はありません。

ローカライズ成長戦略の構築

アプリのローカライズを決定したら、まず成長戦略を決定します。アプリが他の場所で成功するかの一番簡単な指標は、ローカライズする前の時点で既にメインの市場の外からダウンロードされているかどうかです。例えば、日本語のアプリが海外でもダウンロードされている場合、ローカライズ版は海外でも成功する可能性が高いのです。

戦略策定の際には、以下のようなことに注意しましょう。

  • ターゲット市場をピンポイントで定める。そのアプリが人気を得られる可能性があるか、その地域で何が関心を持たれているかを調査し検討します。その地域では他にない優位性があれば、その地域をターゲット市場としてローカライズする価値があるかもしれません。2020年1月に世界で最もダウンロードされたアプリには、TikTok、WhatsApp、Facebook、Instagram、Facebook Messengerなどがありますが、いずれも各市場の動向を細かく把握した上でローカライズを行っています。
  • 主要言語から始める。具体的なターゲット市場がない場合は、アプリの言語として主流の英語、中国語(簡体字)、ヒンディー語、ロシア語、韓国語などから始めるのも堅実な方法です。
  • アプリの評価を探る。他の地域のユーザーによる評価や議論がないか、各種評価サイトやフォーラムを利用して探り、そうしたユーザーのいる市場での可能性を検討します。
  • ローカライズを行える翻訳会社に依頼する。アプリをうまくローカライズさせるためには、翻訳だけでなく総合的なローカリゼーションを高いレベルで行える翻訳会社を選びましょう。

広がるビジネスチャンス

アプリをローカライズする目的はビジネスの拡張です。例えば、ある英語圏のアプリ開発者が、自分のアプリがローカライズされる前後のトラフィックを追跡してみたところ、ローカライズされる前はトラフィックの76%が英語圏からで、ローカライズ後、ダウンロードの約90%が非英語圏からとなっていました。また、全体のダウンロード数も767%に増加していたといいます。

ローカリゼーションを成功させたアプリにEvernoteがあります。現在ではユーザーの75%がアメリカ以外のユーザーです。同社の日本への進出は、ローカリゼーションの対象市場決定の優れた例です。それまで特に日本向けのマーケティングを行ってきていなかったのに日本でのユーザーが増えていることが判明した時点で、本格なローカライズを行い日本市場に参入したのです。現在では2億2500万人のユーザーを抱えるEvernoteですが、背景にはこのようなローカリゼーションを含む優れたビジネス戦略があるのです。

アプリのユーザーを増やす上で、ローカリゼーションには様々なメリットがあります。モバイルアプリの市場規模は2023年までに9350億ドル以上になると予想されており、今後ビジネスにおけるローカリゼーションの意味合いはますます大きくなるでしょう。

まとめ
顧客層を広げ売り上げを増大させる上で、アプリのローカリゼーションは重要な戦略のひとつとなります。

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