スペイン語の翻訳の重要性を考える

スペイン語の話者数は世界に約5億3,400万人いると言われており、英語、北京語、ヒンディー語に続く世界で4番目に広く話されている言語です。近年、スペイン語の翻訳サービスの需要は、米国企業を中心に高まっており、スペイン語の翻訳サービスは40%増加していると推定されています。ここでは、スペイン語が重要視されるようになった理由を考えてみます。

増え続けるスペイン語の話者数

北京語やヒンディー語と異なり、スペイン語は多くの国で使われているために話者数が多いというのは周知の事実です。実際に、スペイン、メキシコを含む世界20カ国でスペイン語が公用語となっています。しかし、公用語とはなっていない国々にも多くのスペイン語話者が存在し、米国には、スペイン語を第一言語とする人が4,100万人以上おり(人口の13%に相当)、米国国勢調査局によれば米国のスペイン語話者数は2050年までに1億3,800万人に達し、そのうちの30%はスペイン語が母国語になるだろうと推計しています。余談ですが、公用語とはなっていないがスペイン語話者がいる国には日本も含まれており、その数は10.8万人と記されています。このように、世界中にスペイン語話者が点在し、その数が米国だけでなく他の国でも増え続けている状況において、スペイン語への翻訳を軽視することはできません。企業にとってスペイン語への翻訳、製品やサービスのローカライズを行うことは、多いに意味のあることなのです。

スペイン語学習者の多さも後押し

スペイン語への翻訳が増えている理由のひとつに、スペイン語の学習者が多いことも挙げられます。学習者が増えれば、教育現場で使われる書籍やソフトウェア、関連製品などの翻訳の需要も増えます。世界で学ばれている言語のトップ5は、英語、スペイン語、中国語、イタリア語、フランス語。どの言語を学習するかの選択には、文化的、経済的な背景もですが、該当言語がどれだけ広範囲で話されているか、どれほどの人に話されているかもにも影響されます。話者数が多ければ多いほどその言語を活用できる機会が増えるからです。その点、スペイン語は、政治、経済、文化面においても広く使われる言語となっており、国連、欧州連合(EU)などの国際機関でも公用語として使われているほどです。

インターネットやソーシャルメディアでも飛び交うスペイン語

スペイン語はインターネット上でも多用されています。ネットユーザーの数を言語別に見ると、スペイン語は英語、中国語、に次ぐ3番目です(Statista, 2020年1月)。ソーシャルメディアにも同様の傾向が見られ。2017年の記録になりますが、ソーシャルメディアでよく使われている言語のトップ5は、英語、中国語、スペイン語、アラビア後、ポルトガル語でした。ソーシャルメディアがマーケティング戦略で大きな役割を担うようになっている現在、そこで飛び交うメッセージや動画の翻訳およびローカリゼーションは非常に重要となっています。当然、ユーザー数の多い言語は無視できません。スペイン語話者の多い米国を例に挙げると、スペイン語を日常的に利用しているヒスパニック系アメリカ人の73%以上の人がFacebookを利用しており、そのほぼ半数がFacebookをブランドに関する情報を共有する場と考えています。彼らの多くは英語とスペイン語の両言語を使いこなすとはいえ、母国語での情報提供を好む傾向は変わらず、Instagramではスペイン語話者の31%がスペイン語での利用を望み、スペイン語コンテンツを提供するアカウントを好む傾向があるのです。世界のスペイン語話者の広がりと市場規模を考慮すれば、ソーシャルメディアの翻訳も気を抜けません。

ビジネスに必要な翻訳

もちろん、グローバルなビジネス展開で最も多く使用されているのは英語です。しかし、最近では欧米に限らずスペイン語への注目が集まっています。その理由としては、中南米などスペイン語圏の国々にも企業が進出していること、インターネットの発達により英語圏以外でのビジネス展開が増えていることなどが考えられます。いずれにしても、ビジネスにおけるスペイン語の翻訳およびローカリゼーションの需要は世界的に増え続けると見られており、その需要は日英翻訳に類するものです。

ドキュメント翻訳:最も一般的かつ主要な翻訳はドキュメント翻訳です。スペイン語圏の支社や顧客に向け、eメール、レター、マニュアルなどさまざまな文書の翻訳が必要とされます。

医療翻訳:日本国内にも多くのスペイン語話者がいることを前述しました。オリンピックのような国際的なイベントの開催時の対応や、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大への対策などにおいて、医療情報や医薬品情報を正確に翻訳する必要性が高まっています。これは、スペイン語に限ったことではありませんが、医薬品名、投薬情報、投薬指示などを正確に翻訳することは不可欠です。患者に治療を行ったり、心理的負担を軽減したりするには、適切な翻訳が必要なのです。

金融ローカリゼーション:金融業界の発展に伴い、フィンテック企業やその他の金融機関は、世界で顧客を獲得し、よりよいサービスを顧客に提供するため、スペイン語への翻訳やローカリゼーションも必要となります。

マーケティング翻訳:マーケティングの翻訳で重要なのは、言語だけでなく、ターゲット地域の状況に合わせてコンテンツを提供することです。スペイン語は20カ国で公用語として使用されており、スペイン在住者はスペイン語話者の10%以下という状況です。つまり、スペイン語だからと言って、スペインとは異なる文化を有する国で使われていることのほうが多いのです。そのため、各国に合わせてカスタマイズしたマーケティング戦略が必要です。コンテンツをターゲット国・地域に合わせてローカライズすることで、多くの新規顧客を引き付けることができるでしょう。

ウェブサイト翻訳・ローカリゼーション: スペイン語によるネット利用者数は驚くべき速度で急増しています。スペイン語がインターネット上で3番目に多く使用される言語であることを踏まえれば、ウェブサイトをスペイン語にローカライズすることは成長戦略につながると言えるでしょう。

アプリ(APP)のローカリゼーション: ネット上で入手できるアプリは数百万に上り、日々増え続けています。しかし、実際に活用されているのはわずかなアプリであることが、アプリのダウンロードと利用状況の調査から見て取れます。アプリユーザーは使用頻度の高いアプリに77%の時間を費やしていたのです。とはいえ、まずダウンロードされなければ意味はありません。ユーザーは自分の言語の製品を購入することを好むため、ローカライズすれば数え切れないほどのアプリの中から選択してもらえる可能性が大幅に高まるのです。

動画のローカリゼーション:新しい顧客の目を引くため、YouTubeなどの動画コンテンツを活用することも増えています。米国の例ですが、ヒスパニック系アメリカ人の顧客の4分の3が、新しいサービスや製品を知るためにYouTubeを利用していました。さらに、ヒスパニック系アメリカ人のスマートフォンユーザーの2人に1人は、自分の文化を正しく描写している動画広告を好むことも分かっています。となれば、スペイン語の動画の需要が高いこと、スペイン語への適切なローカリゼーションがマーケティング戦略として重要だと言えるでしょう。

2060年までに世界中のスペイン語話者数は約7億5,400万人に増えるとの予測もあり、今後もスペイン語の翻訳やローカライズの需要は伸び続けると予想される以上、スペイン語の翻訳の重要性と効果を考えてみるときかもしれません。

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