eラーニングの翻訳・ローカライズで抑えておくべきポイント5つ

eラーニングと言っても、用途やシーンによってコンテンツや活用法は多岐にわたります。教育機関による学習支援、社内向けの研修・教育、対外的な商品説明などでeラーニングが導入されており、そのコンテンツは動画を配信するものや、双方向性のあるもの、受講者に課題を課すものなどさまざまです。ビジネスのグローバル化に伴い、海外市場における事業の説明や国内外で雇用した外国人スタッフ向けの教育などに必要であるとしてeラーニングの多言語化の需要も増えてきました。eラーニングを多言語化する場合、コンテンツの内容はもちろんシステム(LMS:Learning Management System)の多言語化、つまりeラーニングの翻訳・ローカライズも必要です。

eラーニングの翻訳・ローカライズでは、システム上の対応と共に、コンテンツの使用者やターゲットとする受講者の言語や文化への適合が不可欠です。eラーニングのローカライズを行うに当たって戦略を策定する必要がありますが、ローカライズのプロセスは非常に複雑なため、専門的な知識や経験を持つeラーニングの翻訳・ローカライズを専門的に行う会社を利用することで、より良い成果が期待できます。

ここでは、eラーニングの翻訳・ローカライズを行う際に抑えておくべき5つのポイントについて解説します。

事前に戦略を立てる

一般的なローカライズ同様、eラーニングの翻訳・ローカライズでも対象と目的を明確にするために戦略を立てておく必要があります。ローカライズでは、細かい作業や調整業務が非常に多く発生します。コンテンツの翻訳からマーケティングまで、プロセス全体のあらゆる側面を十分に練り上げた上でプロジェクトを進めていかなければなりません。何が必要となり、どのような事態が起こりうるかを熟知した委託先を利用することで、戦略に基づく実効性のある計画におけるさまざまな局面への対処が可能となるでしょう。最初の段階で時間をかけて綿密な計画を立てることで、リスクを回避しながら、eラーニングのローカライズを成功につなげることができるのです。

文化的背景に配慮する

せっかく興味をもってeラーニングを始めても、内容が理解できなかったり、あるいは単に共感できなかったりすれば、受講者はすぐに離脱してしまいます。コンテンツが、異なる文化でどう受け取られるかについて配慮することも必要なのです。言語を置き換えたから、同じ言語が使われているからと安心するのではなく、受講者に受け入れられなければなりません。ある文化圏で好印象を与える言い回しでも、別の文化圏ではまったく異なる印象を与えるかもしれません。こうした文化的差異が受講者の学びの妨げとならないよう、対象地域・対象文化を十全に把握し、適宜調整を行っていくことが重要です。それを行う上で、ソース言語とターゲット言語の両方のネイティブスピーカーを翻訳者や校正者として擁する会社は強い味方になってくれるはずです。

画像の挿入に注意する

テキストを入れ込んだインフォグラフィックやデザインなどの画像は、それらを使い回すことでイメージの統一が図れますが、多言語化を目的としたローカライズを行う際には扱いづらいことがあります。図表や画像から文字を取り出し、翻訳した語に置き換えるのに時間と労力を要するため、多言語化する可能性のあるeラーニングのコンテンツには、文字情報を画像に入れ込むことは避けておくほうが無難です。どうしても文字が入ったまま画像にしたものを使用する場合には、あらかじめすべての言語の画像やグラフィックを同時に作成しておくことで、画像の編集にかかる労力を最小限に抑えることができます。

文字だらけになるのを避ける

多言語化を鑑みれば、eラーニングのコンテンツレイアウトに余裕を持たせておくことをお勧めします。多くの場合、オリジナル版と翻訳・ローカライズ版では、文字情報を表示するのに必要なスペースが異なることがあります。アジア言語の中でも中国語や日本語のように全角を使う言語から主に半角で表記される欧米言語に翻訳する際はもちろん、アルファベットを利用する言語間の翻訳でも所要スペースは異なります。例えば、英語をフィンランド語に翻訳した場合、必要なスペースが1.6倍になるとも言われています。ですから、ターゲット言語によって文字数や必要なスペースが違うことを考慮しないでオリジナル版を作ってしまうと、言語によって文字だらけになってしまい、視覚的に魅力のないコンテンツとなってしまいます。文字組みや文字の配置を行う際は、スペースに余裕を持ってデザインすることで、多様な言語の要件に対処できるようにしておきましょう。

音声・動画ファイルもローカライズする

eラーニングでは、音声や動画が大きな役割を果たすことが多々あります。それらも必要に応じて確実にローカライズしなければなりません。ナレーションや会話といった音声を吹き替えるのであれば、そのための台本を視聴者に合わせてローカライズする必要があります。吹き替えの場合、対象言語の発音や用語の翻訳が正しいかを事前に確認した上で、録音前にしっかりと台本を見直しておきます。録音作業は何度もやり直せるものではないので、慎重な準備が欠かせません。

台本と共に、キャプションや字幕も単に言葉を置き換えるのではなく、ローカライズしておく必要があります。視聴者は動画を閲覧しているときの情報収集をキャプションや字幕に大きく頼っているので、目から入る文字情報が心に響くものになっているかは重要です。また、キャプションや字幕には一定の時間に読み取り可能な文字数に収めるなど特有の要件があることも理解して作業を進める必要があります。

グローバル化による情報提供範囲の広域化、社員教育などの多様化に加え、世界的パンデミックによる渡航制限や外出規制などによりeラーニングの需要や関心は、ますます高まっています。適切なローカライズを行うことにより、国や言語を問わず多くの人々にeラーニングを利用してもらえるようになるでしょう。オリジナルコンテンツの要素を損なうことなく、目的に応じて最大の効果を生み出すeラーニングの翻訳・ローカライズには、複雑なローカライズに長けた翻訳会社/言語サービスプロバイダー(LSP)は強い味方となってくれるでしょう。

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