EC(eコマース)サイトのローカライズ

「eコマース(Electronic Commerce)」という言葉が一般的に登場するようになったと思ったら、あっというまにeコマース=ネットショッピングとなり、今や実店舗をしのぐ勢いで市場は拡大。ショッピングに限らず、旅行やオークションサイト、フリマアプリなど、さまざまなサービスが存在しています。インターネット利用者数の爆発的な増加を背景に、eコマース市場規模は右肩上がりに拡大しており、経済産業省の電子商取引に関する市場調査の結果とりまとめによると、平成30年(2018年)の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、18.0兆円(前年16.5兆円、前年比8.96%増)、同年BtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は344.2兆円(前年318.2兆円、前年比8.1%増)となっています。

世界のeコマース市場に目を転じても、先進国から途上国まで世界中、誰でもネットで買い物をすることが可能となりました。今後も人口が伸び続けるアジア新興国を中心に、さらなる市場の拡大が予想されており、越境市場規模は2020年までには1兆ドルに迫ると予想されています。こうなると、新しい顧客を惹きつけ、売り上げを大幅に増やすためにはeコマース関連のウェブサイト、アプリ、マルチメディアプラットフォームのローカライズおよび関連情報の言語翻訳が必須です。

では、世界市場に広がるeコマースの ローカライズ をする際には、どのような注意が必要なのでしょうか。

eコマースのローカライズにおける重点事項

eコマースブランドの成長戦略を考えるにあたり、ローカライズにおける重点事項としては以下のような市場の要望を考慮する必要があります。

  • 利用者が求める言語のWebサイトを提供する
  • 利用者が求める言語でカスタマーサービスを提供することを確約する
  • ターゲット市場で広く使用され、かつ信用度の高い複数の支払い方法を提供する
  • 該当地域の通貨で価格を表示する
  • ソーシャルメディアのコンテンツを含め、製品に関するあらゆる特徴は、該当地域の文化的規範に適合したものであることを確認する
  • 配達日時、関税率、税金など、物品の配送に関する情報を分かりやすく表示する
  • 該当地域における正しい顧客対応法を理解しておく

グローバルeコマース市場へのローカライズで成功を収めたブランド

新たな市場に参入したことで成功を収めたeコマースブランドの中から、ローカライズすることで大きな成功を収めた企業を3つ紹介します。

O Boticario

ブラジルで最も人気のある化粧品ブランドのひとつであるO Boticario(オ・ボチカリオ)は、幅広いラインアップを揃えています。eコマース・ウェブサイトのローカライズで大きな成功を収め、ブラジル、メキシコ、ペルー、パラグアイ、フランス、ベネズエラ、ボリビア、日本など世界各地に4,000以上の店舗を展開しています。同社は、段階的なアプローチを経て各地域の顧客向けにWebサイトのコンテンツと機能のローカライズを行い、販売網を広げてきました。

  • 各地域における商品のラインアップが該当市場の消費者の購買習慣に基づいていることを確認
  • ターゲット市場の消費者が簡単に接続できるWebサイトを構築
  • Webサイトのコンテンツの翻訳とローカライズ(地域化)
  • 顧客の懸案事項に対応すべく、製品に関して求められるすべての詳細情報を提供
  • 世界で使用されている決済方法を採用して購入手続きを簡素化

Vivino

Vivinoは、デンマーク発のiPhoneアプリでしたが、ユーザー数1,800万人の世界有数のオンラインワインマーケットに成長しました。このアプリを提供するVivino社は、グルメ食品とワインの新興市場に参入することを決め、ベルギー、イギリス、スペイン、イタリア、オランダでそれぞれの国にローカライズしたWebサイトを立ち上げました。Webサイトのコンテンツは事業全体で統一しているものの、各国のサイトは通貨、言語、カスタマーレビュー、地域ごとのワインの売れ筋などをローカライズしてあります。

Amazon(アマゾン)

言わずと知れた世界最大の収益を生み出すeコマース企業です。Amazonはコンテンツを新しい市場に届けるためのローカライズで大成功を収めています。効果的だった1つの策は、Webサイト構築時、それぞれの市場で異なるデザインを採用し、特定の市場で特定の商品を目立つようにしたことでした。例えば、メキシコではAmazonの存在感を高めるため、他国のサイトでは類を見ないほどの多様なカテゴリーを持つスペイン語のWebサイトを構築しました。また、ネットで食料品を買うことが広がりつつあったイギリスでは、Amazon フレッシュ・サービスを展開させました。このように、各地域での取り組みで最高の成果が得られるように、Amazonは各市場で何が最も効果的な方法かを調べ、重点的に実現させてきたのです。

eコマースで最良の成果を得るために-ローカライゼーション企業との連携

eコマース市場は、着実に広がり、eコマースを念頭においたビジネスプランが不可欠となりつつあると言えるでしょう。世界中のインターネットユーザー数および普及率は増加し続けており、世界のモバイルアプリ市場は2020年までに1,889億ドルに達するとも予測されています。市場規模が拡大し、ユーザー数も増加するにつれ、eコマース企業はローカライズを通して成長する機会を有しています。とはいえ、ローカライズサイトの開設から、メッセージ、製品のパッケージ化、そして地域に適した配色まで、ローカライズに関る作業は多種多様です。eコマース会社だけでは難しい部分も……。そこで、専門知識と経験を有するローカライズ企業と連携することで、迅速、正確、かつ費用対効果の高いサービスを提供することが可能となるのです。

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