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【事例紹介】政府機関にAMLとCTFの 法務翻訳を実施

AMLおよびCTF関連資料における、中国語(繁体字)と英語間の高精度な法務翻訳を実施。国家政府機関向けに、厳格なコンプライアンスおよびフォーマット要件のもと、35万字以上を翻訳したプロジェクトを紹介します。

案件概要
  • 言語:中国語(繁体字)<>英語
  • 分野:法律
  • 文書の種類:国際文書
  • 文字数:350,000文字以上
  • サービス:翻訳+クロスチェック+DPT
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ご依頼主について

お客様は、司法行政、法令遵守、公共の安全を担う政府機関であり、マネー・ローンダリング対策に関する国際基準の策定・履行を担うFATF(金融活動作業部会)やFATFの地域体であるAPG(アジア・太平洋マネー・ローンダリング対策グループ)といった国際的なフレームワークに準じた国のリスク評価、AML(アンチ・マネー・ローンダリング)やCFT(テロ資金供与対策)に関する資料の作成、公開において中核的な役割を果たしています。その活動は、金融犯罪対策における透明性の確保、規制の施行、国際協力の推進などにも及びます。

国際的なフレームワークへの関与と情報発信を進めるには、秘匿性が高く、取り扱いに細心の注意を要する大量の文書を、英語から中国語、また中国語から英語に正確に翻訳できるパートナーが必要でした。今回ご依頼いただいいた翻訳作業には、国のリスク評価文書、国際機関による刊行物、公式プレスリリース、AML/CTFの啓発や認知向上のための資料が含まれていました。

お客様からのご依頼内容は非常に厳しいものでした。
1. 法的・規制用語は正確であること
2. 原文の書式とレイアウトを、翻訳文書においても完全に維持すること
3. 対象文書ごとに二言語(英語と中国語)を3ファイル、単言語を1ファイル作成すること
4. 3か月という厳しい納期内で35万文字以上の大量の翻訳を行うこと

政策上、取り扱いに注意が必要ながら国際的に注目度の高い文書を翻訳するにあたり、政府、法務およびコンプライアンスに関する確かな専門知識を有し、強固な品質管理とデータセキュリティを備えている翻訳会社を、お客様は必要としていました。

プロジェクトの課題

難易度の高いコンテンツ

ご依頼いただいた文書は、国のリスク評価、AML/CTFフレームワーク、国際基準、公式なコミュニケーションに及ぶもので、一般的なものと異なる難易度の高いものであり、翻訳には細心の配慮が求められました。すべてに法的かつ政治的評価に影響するおそれのある内容が含まれているため、「正確に翻訳する」だけではなく、文書に書かれた責任をも伝える翻訳が求められていました。わずかな言葉や表現の違いが意味やトーン、意図を変えてしまう可能性があります。そのため、原文に忠実でありながら、翻訳した言語でも明瞭かつ自然に読める文章を作り上げることは大きな課題でした。

限られた時間の中での膨大な文字を翻訳

文字数の合計が35万文字を超える分量を3ヶ月以内に納品するだけでなく、プロジェクトが7つに分割されていたことも作業を難しくしました。それぞれのファイルには個別の範囲、納期、優先度が設定されており、スピードだけでなく、作業経過の中で一貫性を保つことが課題でした。1週目に送られたファイルであれ12週目に送られたファイルであれ、全てで均等な品質を保つ必要がありました。

厳格な書式と複数のファイル構成の維持

お客様からの要望は、正確な翻訳はもちろん、翻訳されたファイルが原文とまったく同じ形式に整えられていることでした。そのためには各ページのレイアウト、図表、見出し、番号付け、スペース、視覚的な流れまで原文どおりに維持しなければなりません。さらに、すべての翻訳文書を4つのバージョン(3つの二言語ファイルと1つの単言語ファイル)で納品することが求められていました。わずかな書式の変更でも文書全体の体裁が崩れる可能性があったため、翻訳するだけでなく、翻訳されたファイルでも構造が損なわれないように各文書を慎重に再構築し、全体を通して細心の注意を払って作業を行う必要がありました。

AML/CTFフレームワークと用語の整合性を確保

FATFやAPG、国のリスク評価、複数の国際的な情報を基に作成された文書には、非常に特殊な用語が使用されており、それらを混同してしまうと読者を混乱させたり、メッセージの説得力を弱めたりすることになりかねません。
数百ページにわたり用語を統一し、すべてのファイルで「risk-based approach(リスクベースアプローチ)」「beneficial ownership(受益所有者)」「Suspicious Transaction Report(疑わしい取引報告)」といった用語が常に同じ訳になるようにしておくことが不可欠です。用語の一貫性は、文章の明確さと信頼性に関わる重要な要素です。

訳文のレビューや改訂作業と政府レベルの期待値の管理

この案件では、翻訳後のレビュー、フィードバック、微調整といった作業をすべて厳しいスケジュール内に完了させなければなりませんでした。課題となったのは、柔軟性と管理のバランスを取ることでした。お客様のご意見に常に耳を傾けつつ、すべてを整理し、適切にバージョンを管理し、滞りなく作業を進めることが必要でした。しかも、秘匿性が高い、あるいは取り扱いに注意が必要な政府関連の文書であるため、ファイルの更新を行う際にも慎重に取り扱い、専門業者としてミスが起こらないように注意しなければなりませんでした。

クリムゾン・ジャパンのソリューション

原文の単語ではなく意を汲む

翻訳作業を開始する前に各文書を熟読し、意図を理解するために時間を費やしました。国のリスク評価報告書は、プレスリリースや政策メモとは異なる書き方をされています。そこで最初のステップとして、各文書の目的と対象読者を明確に定義しました。翻訳者と校閲者(レビューアー)を交えた内部会議を開き、文章のトーン、フォーマルさの度合い、明瞭さについて議論しました。こうした準備作業により、翻訳者はそれぞれの文書の言葉を単純に変換するのではなく、そこに書かれた意味、責任、意図を確実に伝達できるようになります。このようなステップを踏むことで作業上での不備を防ぎ、正確さを損なわずに自然な文章に翻訳することができました。

7つのプロジェクトを一括管理

お客様からの依頼は、パッケージ化された1つのファイルではなく分割された7つのファイルでの作業でした。それぞれに独自性や課題点があり、締め切りも異なるファイルの作業を行うにあたり、別々に進めたのでは個々に問題が起こる可能性があると考え、一括で管理するための「プロジェクト統合司令部」と称する部署を設置し、情報を共有するようにしました。どのプロジェクトに割り振られたファイルも、共通のルール体系、命名規則、レビュー経路、品質チェックを通過することにしたのです。7つのファイルを同時並行で処理するのではなく、同期させることで、チームが作業の進捗を各段階(翻訳、レビュー、DTP処理、納品準備、納品完了など)でリアルタイムに把握できるようにしました。作業を可視性することで、後追いするのではなく先回りして作業を進められるようにできました。この結果、予期せぬ事態に陥ることも、土壇場でパニックになることもなく、7ファイルすべてを着実に管理することができました。

翻訳したファイルの再構築

文書の理解を深めるため、見出しや表を読者が読みやすいように揃え、数字は一目で意味が理解できるようにしておきます。また、ご依頼に合わせ、翻訳されたテキストを原書と同じレイアウトになるようにDTPチームがそれぞれのファイルを再構築しました。その後、品質管理チームがすべてのファイルを丁寧に確認し、位置ずれや記載漏れやミスがないかを入念にチェック。その後に改めて3つの二言語ファイルと1つの単言語ファイルの形に揃えたのです。こうした作業により、言語こそ違えども見た目は全く同じファイルができあがりました。

数百ページにわたって用語・表現を統一

FATFやAPG、各国のフレームワークに関連するテキストを翻訳する際の最大のリスクは、誤訳ではなく用語や表現がばらつくことです。同じ用語が場所によって異なる訳語に置き換わっていると、些細なことではありますが文書全体の信憑性を損なうことにつながります。プロジェクト開始時に作業用の用語集を作成し、全工程においてこの用語集を活用。翻訳者と校閲者が用語集に準じて作業を進めたことで、最初のページから最後のページまで用語表記に一貫性を持たせ、さらに、社内ツールとCATシステムを使って翻訳作業を支援すると共に用語集から外れているように見える表現のすべてにフラグを付け、チェックを行いました。また、用語が更新された場合は、その変更を7つのプロジェクトファイルすべてに即座に反映させ、数百ページにわたる文書の用語・表現を統一することができました。

お客様との対話を通してプロジェクトを進行

プロジェクトはお客様との対話をしながら進められました。常にお客様と連絡を取り合うことでファイルの作業進捗を共有し、お客様からのご要望やご指摘に細心の注意を払い、次に何が必要なのかにも耳を傾けるようにしました。指示やコメントが不明瞭な際には、推測せずに直接お伺いすることで確認し、変更などがあれば即座に対応するようにしました。関係者が継続的に対話を行い、作業の方向性を一致させながらの進行を心がけたことで、厳しいスケジュールの中で秘匿性が高く、取り扱いに細心の注意が必要な本プロジェクトを、柔軟に管理することができました。

成果

  • 国のリスク評価、AML/CTFフレームワーク、国際機関による刊行物、公式文書など、秘匿性が高く、取り扱いに細心の注意が必要な文書(35万文字以上)を翻訳
  • 7つプロジェクトファイルを同時並行的に管理。プロジェクト毎に独自性や課題点を有し、締め切りも異なるファイルの一貫性を保ちながら管理。
  • 納品物(3つの二言語ファイルと1つの単言語ファイル)のすべてを原文と完全に同一のフォーマットに再構築。
  • 用語集の作成・管理と専用の品質保証プロセスを活用し、FATF、APG、各国のフレームワーク全体で厳格に用語の一貫性を維持。
  • 段階的なファイルの納品、オープンなコミュニケーション、迅速なフィードバックを通じてお客様との関係を築きながら、プロジェクトを円滑に進行。
お客様の声

納品された翻訳は当方の基準とプロジェクトへの期待を満たすもので、その品質と信頼性に満足しています。

今回は英語と中国語の言語ペアでしたが、クリムゾンでは日本語の法律関連の文書の翻訳にももちろん対応可能です。詳細はこちらをご覧ください。



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